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Chromecastの大成功 (ブロードキャスティングレビューシリーズ No.142)
2016年3月25日号

 Googleによる最初のビデオエンターテイメント市場向けの製品、Google TVは大失敗であった。Google TVベースの製品はSonyとLogitechから2010年に発表された。注目はされたが、売上は芳しくなく、Logitechは1年で撤退した。第2世代のGoogle TVを搭載したスマートTVは2012年にSonyとLGが発売し、ストリーミング・プレーヤとしてVizio、Hisense等からも発売になるが、どの製品も1、2年で消えていった。

 Google TVは他のスマートTV、あるいはRoku、Apple TV等のストリーミング・プレーヤより高度であったが、操作にキーボードを使うなど、シンプルさとは程遠い製品であった。Googleの次のストリーミングビデオ製品のChromecastはGoogle TVとは正反対に非常にシンプルである。Chromecastにはリモコンは無く、スマートフォンのビデオ、あるいは音楽アプリからコンテンツを「キャスト」する。

 Google Castは2013年に発表され、すぐにヒットした。Strategy Analyticsの調査によると、世界におけるストリーミング・プレーヤの2015年の出荷台数は4200万台で、その内、35%はGoogleのChromecastが占めている。Apple TVは発売が開始されてからの期間が長いので、累計では3700万台で1位を維持している。しかし、 Chromecastの累計台数は2700万台となり、2000万台のRokuを追い抜き、2位になっている。

 Chromecastが売れている理由も1つに価格がある。Chromecastは$35で、$140のApple TV、あるいは$90のRoku 3より安い。しかし、AmazonのFire TV Stick、あるいはRokuのStreaming Stickも$40と安いが、Chromecastの程には売れていない。Digitalsmiths社が行った調査ではChromecastの利用者は2015年第4四半期で9.0%となっている。これに対してFire TV Stickは3.8%、Roku Streaming Stickは2.3%である。

 Chromecastの最大の特徴はそのシンプルさである。HDMIに接続し、スマートフォンのアプリで設定をすれば、これまで使ってきたスマートフォンのアプリを使いテレビでストリーミングビデオが視聴可能になる。スマートフォン無しでは使う事は出来ないが、スマートフォンでビデオを見てきた人に取っては新たな操作無しでテレビでもストリーミングが出来るようになる。

 Googleはこの技術をGoogle Castとして他のデバイスでも使えるようにライセンスを始めた。アメリカでテレビの販売台数が第1位のVizioはGoogle Castの機能を内蔵した4Kテレビ、Pシリーズを発表した。Pシリーズ自体にはスマート機能は無い。付属する6インチのAndroidタブレット、あるいは既存のスマートフォンがユーザインタフェースになる。スマートTVの大きな問題は3メートル離れた画面のインタフェースをいかに操作するかであった。Google TVの失敗の1つもモバイル向けのAndroidを3メートル離れたテレビの画面にスケール出来なかった事である。Google Castにはその問題は無い。操作は手元のスマートフォン、あるいはタブレットであり、画面はその操作で選んだコンテンツを映すだけである。


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