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南米チリの砂漠に、世界中から着古した衣類が集められて不法投棄され、「衣類の墓場」とも呼ばれる光景が広がっている。荒涼とした大地に積み上がった衣類の山は、大量生産・大量消費を見直し、「持続可能なファッション」を目指すことの必要性を訴えている。(チリ北部アルトオスピシオ 淵上隆悠)
10万トン
太平洋とアンデス山脈の間に、南北約1000キロ・メートルにわたって年間降水量が10ミリにも満たないアタカマ砂漠が広がる。砂漠の北部に位置するアルトオスピシオの貧困地区を抜けると、砂とは異なる「山」が姿を現す。
ジーンズ、シャツ、セーター、靴下――。高いところでは5メートルを超える「山」の正体は大量の衣類ゴミだ。一帯のゴミの量は約10万トンにもなるという。強い日差しに照らされて布地の色は落ち、辺りにはプラスチックが燃えたような不快な臭いも漂う。
市によると、砂漠に衣類が投棄されるようになったのは6、7年前からで、隣接する港湾都市イキケから運び込まれるという。
イキケは1970年代に政府が「自由貿易地域」に指定し、輸入時の関税が免除される。自動車や機械などにとどまらず、売れ残ったり寄付されたりした衣類が欧米やアジアなどから運び込まれる。
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