アウトドアで目的を達成するためには、自然の中を、土壌や水資源へのダメージを避けながら、移動しなければなりません。移動やキャンプが環境に与えるインパクトを理解することは、旅行の目的を達成するためにとても重要です。ダメージは、地表の植生や生物の群生が自然回復の限界を超えたときに起こります。その結果、土壌の裸地化やトレイルの侵食が起こり、快適なアウトドア活動ができなくなります。バックカントリーの旅行では、オントレイルとオフトレイルでの配慮がことなります。

オントレイルの歩き方

土地管理者は、旅行者のインパクトを集中させるためにトレイルを作ります。トレイルを作ること自体、環境へのインパクトですが、人々が自然の中を旅行し、インパクトを最小限にするために必要な対応です。

トレイルにインパクトを集中させることで、複数のトレイルができ、景観や環境を傷つけることを防ぎます。不明瞭なトレイルよりも、よく整備されたトレイルを歩きましょう。トレイルがぬかっていても、整備されたトレイルの中を選択します。つづらおれでも、ショートカットせずに、トレイルの中を歩きましょう。

オントレイルで休憩する場合、他のハイカーのために、トレイルを開ける必要があります。トレイルが狭く、オフトレイルに移動しなければならない場合、オフトレイルの原則を実践しましょう。休憩中に、コミュニケーションを取ることはとても大切です。ただし、大声はできるだけ避けましょう。大きな音は、自然の中では歓迎されません。

オフトレイルの歩き方

全ての旅行で、トレイルから離れる可能性があります。例えば、休憩、トイレを探す、キャンプサイトの周辺散策などがあります。オフトレイルの移動が土壌に与える影響を増大させる要因は、地表と植生の耐久性と、使用頻度(グループの人数)です。

・耐久性とは、地表や植生が踏圧に耐えたり、自然回復する能力です。耐久性が高い地表を選びましょう。

・使用頻度とは、使用を一箇所に集中することで、高まります。できる限り分散して使用しましょう。

地表耐久性

耐久性の概念は、全てのバックカントリーの旅行者が理解すべき重要な概念です。以下の地表は全て異なった耐久性を示します。

岩・砂利・砂:これらの地表は耐久性が高く、踏みつけなど繰り返しの使用に耐えることができます(ただし、岩の上で成長する地衣類は、繰り返しの使用に脆弱です)。

氷・岩:これらの表面を移動する影響は、一時的であり、地表への影響はほとんどありません。雪の深さが地表の植生への影響を防ぐのに十分である場合は、使用に適しています。

植生:踏みつけによる植生の抵抗力は様々であり、慎重に選択する必要があります。耐久性のある植生、もしくは簡単に回避できるまばらな植生のエリアを選択しましょう。乾いた草は、踏みつけに強い傾向にあります。湿地性の草は踏みつけの影響を大きく残します。踏みつけは、次のハイカーが同じところを歩くことを助長し、望ましくないトレイルを作ることになります。トレイルを外れて移動しなければならないときに、次のハイカーに踏み跡がわからないように、グループはできる限り分散して歩きます。特に、オフトレイルの影響の出やすい急斜面では、分散して移動しましょう。

生きている土壌:「クリプトバイオテッククラフト」または「クリプト」と呼ばれる生きた土は、砂漠の環境でよく見られ、踏みつけに対して極めて脆弱です。これらは、砂の上に黒く、不規則に隆起した固まりとして見ることができる、生物の小さなコロニーです。コロニーを作ることにより、水を保持し、侵食から守る効果があります。このコロニーは一歩で簡単に壊れてしまいます。これらのエリアでは、整備されたトレイルを歩きましょう。どうしてもトレイルから離れなければならない場合、岩などの耐久性のある地表を選びましょう。避けられないほど広い範囲で生息している場合、メンバーの足跡をたどってインパクトを受けるエリアを最小限にすることが最善です。これは、その他の植生とは正反対の方法です

影響の少ない場所でのキャンプ

適切なキャンプサイトの選択は、影響の少ないバックカントリーツアーで最も重要な側面です。そのためには、最大限の判断と情報が必要で、ときには生態的インパクトと、社会的インパクトのトレードオフとなる判断が必要です。キャンプサイトの決定は、そのエリアの使用頻度と目的、植生と地表の脆弱性、野生動物への影響、過去の使用の評価、利用者が与える影響の可能性など、包括的に判断する必要があります。

使用頻度の高いエリアでのキャンプサイトの選び方

水源やトレイルの近くでのキャンプを避け、他の人に見えにくい場所を選びましょう。人が多いキャンプサイトでも、他のグループと離れることで、プライバシーを維持できます。野生動物の生息ルールから離れるために、水源から60mは離れましょう。計画されたキャンプエリアの場合、その規則に従います。より良いキャンプサイトを選択するためには、時間と体力に余裕を持って、1日の行動を終えましょう。疲労、悪天候、時間の遅れは、不快で、環境にダメージの高いキャンプサイトを選択することになります。一般的には、インパクトが大きなエリアにキャンプする方が、さらに与えるインパクトが小さいため、適切です。人気のあるキャンプエリアでは、これらのサイトは裸地化しているため、すぐに見つけることができます。インパクトの大きいエリアでは、テント、キッチン、動線を集中させ、それ以外のエリアに与える影響を最小限にします。キャンプサイトを出発するときは、次のキャンパーにとって、その場所が快適な場所であるか確認してください。

使用されていないエリアでのキャンプサイトの選び方

訪問者のほとんどないエリアでは、テントサイトの跡は見られません。これらの特別な場所でキャンプをするためには、LNTに精通し、高い技術を身につける必要があります。手付かずの自然の中でキャンプをするときは、テントサイトを分散し、動線の繰り返し使用をさけ、毎晩テントサイトを変えた方がいいでしょう。これにより、エリアの特定の部分へのインパクトを最小限にすることができます。エリアの中でも耐久性の高い場所に、テントサイト、キッチンサイトを分散します。キャンプサイトでは靴底の柔らかい靴に履き替えます。キッチンサイトや食料を保管した場所の移動回数をできる限り減らします。大きな岩など耐久性の高い地表はキッチンサイトとして適しています。水源へは異なったルートを選択し、インパクトの集中をさけます。何度も水を取りに行かないように、大量のウォーターバックを準備しましょう。

キャンプサイトを後にするときは、時間をかけて使用した場所を回復させてください。動かした石を戻したり、使用した地表を落ち葉などで覆ったり、倒れた草を起こすと、サイトの回復を早めます。この方法は、環境の回復を早めるだけでなく、次のビジターにあたながキャンプをしたことを気づかせないことに役立ちます。手付かずのエリアは、使用される頻度が低いほど、手付かずの状態に回復する可能性を高めます。

乾燥した地域での最も適したキャンプサイトは、岩、砂などの耐久性が高いか、頻繁に使用されて更なるインパクトが少ない場所を選びましょう。手付かずのエリアの場合、岩、砂利、砂はキャンプサイトして適しています。生きている土壌、植物の群生、水資源にキャンプをするのはさけましょう。

テントサイト、キッチンサイト、食料の保管場所は、岩、砂利、砂などの上に配置しましょう。それぞれの動線ができないように、歩く場所を変更します。同じ場所への滞在は、2泊以内にしましょう。落ち葉の層があるときは、それらを取り除かないでください。落ち葉の層は、土壌への踏みつけを和らげ、土壌の硬化を減らし、降雨による土壌の侵食を防ぎます。「砂漠の舗装」として知られる地衣類を傷つけると、何百年も目に見えるダメージを残します。

沢筋でのキャンプサイトの選び方

沢筋は狭く、キャンプに十分なスペースはありません。キャンプサイトが指定されている場合があります。喫水線より高い砂の河原、砂州、植生のない場所で、指定されたキャンプサイトを使用しましょう。

LNT原則3 ゴミの適切な処理